死者からの電話

その日、彼は携帯電話を機種変更ではなく、買い替えたらしい。なので当然、携帯の番号も以前とは違うものになっていた。夜、彼は前の携帯電話から電話帳データを移していた。ふと時計を見るともう日付が変わるころ。遅いので作業の途中だが寝ることにした。

数時間経った頃だろうか、彼の携帯が突然鳴りだした。こんな時間に誰だ??と思いつつも携帯に目をやった知らない番号からの電話だった。仕方なく電話を取り「どちら様ですか??」と尋ねた。女の声がした。
「伊藤ですけど覚えてる??」
伊藤とは昔付き合っていた同級生で、もちろん声に聞き覚えがあった。女はこう切り出した。もう一度会いたかったと。

一週間くらい経った頃だろうか。高校の同級生から電話が掛かってきた。明日同窓会に来ないか??という内容だった。無論断る理由もなく行くことにした。同窓会に顔を出した彼は、伊藤がいない事に気が付いた。彼は近くにいた同級生に伊藤はどうしたの??と聞いた。すると同級生は重い口を開いた。
「お前知らなかったのか??伊藤死んだんだよ一週間くらい前に…病気で……。」
一週間くらい前といえば伊藤から彼に電話が掛かってきた時期と重なる。

なぜ伊藤は彼の番号を知っていたのだろうか。

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