この間、ずっと忘れていた事を思い出しました。
前後関係は全く判らないのですけど、子供の頃住んでいた小さな町で、他の子供五人くらいと何処かの家の壁に、ぎゅーっと掌を押し付けているんです。で、そうしていると、いきなりずぼっと音がして、私達が手を当てていた壁(立派な石造りのやつ)の一部分から、真っ黒でどろどろしたものが流れて来るんです。しかも、私は極度の恐がりだったにも関わらず、『やってやったぞ』みたいな高揚感があって、恐怖の色は微塵もないという。更に言うと、『これで●●ちゃんは大丈夫』みたいな事を考えているんです。●●ちゃんに関しては、漠然と『時々遊んだかな?』位のことしか覚えていません。
これだけなら『夢だな』で済むんですが、その壁に手を当てていた友達の中に私の遠縁がいて、先日、十五年ぶりくらいに連絡をとって来ました。大伯母の葬儀についてだったので、ひとしきり話した後に件の話をしてみたら、彼女も最近それを思い出したと言うのです。で、私と同じ様に「長い事忘れていた」と。しかも、おまけ話があって、私はそういう認識はなかったのですが、例の出来事(壁に掌)の後、それをした子供の家は次々に町から引っ越し始めて、彼女が最後の一家族だったというのです。
それで、彼女と話して、「これは『終わった話』だから、話してもいいし、むしろ話した方がいいんじゃないか」って結論になりました。いえ、実は理由はよく判らないんですけど、何か二人とも物凄くそう強く確信していたんです。但し、私達は二度とあの町に行かないと思います。何か起こるのが怖いって言うんじゃなくて、『もうやるべき事はやったし』って感じ。
ええと、一応オカルトっぽく纏めておくと、あの壁から出て来たどろどろを思い出す度に、私は『地獄』って言葉を連想します。私や親戚の彼女は、至って普通に人生送ってますが。
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日本版『IT』みたいですね。他にも思い出したら書いて欲しい。