その村の子供はみな誕生日が同じだった・・・

しばらく前の連休に、友達の田舎に泊めてもらった。そこには古くからの祭りがあるらしく、僕も少し興味があった。その祭りでは、一週間前から菜食のみで生活し、前日に酒をあおる。当日は、早朝から海へお参りして、村へ戻る。

変なんだ。当日から、友達が別人みたいなんだ。言葉遣いが違う。櫓に乗って踊る、黒い衣装も足袋もなんかもやがかかっているんだ。そうこうしているうちに、櫓が村を巡る。櫓が来たら、村人は心づけを渡すんだ。

ある家の前で櫓が止まって、友人は心づけを要求した。
「今年はすみません」
確かにその家の老人はそういった。

そのあと、どうなったか。なんと友達は連れと一緒にそこの家を引き倒したのだ。土建屋だから、お手のもの。ごく普通に行われてるんだよ。引き倒しは放送されないけど、練り歩く様子はテレビでも放送されたことがある気がする。

翌日の晩は、無礼講。その村の子供はみな、祭りの10か月後が誕生日らしくて気味悪い。友達は、自分の本当の父親は結局知らないと言っていた。でも、それが普通だと。伝統らしいよ。

友達の妹は結局都会に就職したけど、村のしきたりと婚約者が合わなくて、自殺してたな。祭りのあるあの村はほんとヤバかったな。

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