不気味な母親と冷蔵庫の秘密

前のアパートの斜め上に住んでいた人。太りまくって無口な父親と綺麗だけど不気味そうな母親、人形のような三歳位の娘の三人暮らしで、娘がうちの息子と仲が良くなり隣の公園で何度か遊んだが、母親は絶対に出てこない。ふとアパートを見ると、母親が閉めきったカーテンの隙間からこちらを監視していた。一時も目を離さず。はっきり言って怖かった。


暫くしたら母親が2ヶ月ほど姿を消し、再び姿を見せたと思ったら妊娠してた。一方、娘は戻った後すぐ姿を見せなくなった。息子が聞いても母親は答えない。家内は、最近その家族の部屋の前に女の子の幽霊のようなもやっとした影が見えるという。同時期、その場所に電源が入ったままの冷蔵庫が置かれていた。

近所で冷蔵庫の中身が噂になり始めた頃、母親のお腹が元に戻った。が子供はいない。駄目だったのかな?と思った数日後、その母親が血相変えてうちの部屋に飛び込んできた。父親が倒れたという。父親は顔中血まみれで仰向けに痙攣してた。巨体だったので救急隊も運べず、数人で負おぶって何とか救急車に入れた。なお、始めて入った部屋は片付いていたが、がらんどうで生活の臭いがしなかった。

部屋には冷蔵庫がある。何故入り口にもう一つあるんだ?そう思って入り口の冷蔵庫に近づいたら、母親が今まで以上に怖い顔で「それには触らないで!!」と叫んだ。この緊急時に、救急隊の人も驚く程の声で。それ以来、母親も姿を消し、部屋は売りに出された。あの夫婦は何だったんだろう。そして女の子は?冷蔵庫は?不可解なことばかり。冷蔵庫に保管したなら臭うと思うんですよね。残念ながらそれはなかった。ただ、駅裏の汚い路地沿いのぼろアパートだったので、全体的に鼻を突く臭いはしましたが。女の子は本当に可愛いくて無邪気な子だったので、思い出す度鬱になります。

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