子供の頃の思い出。
小学2年生の時、学校からの帰りに近道を通って帰ろうって話になった。通学路をショートカットして、一気に家の近所まで出る道を友達が発見したらしい。通るのはいつも通学の時に横を素通りするお寺と、隣接する墓地。当時、物事を深く考えない子供だった私は気軽に頷いて友達について行ったんだけど、それが失敗だった。
お寺の敷地から墓地に入った途端、異変に気付いた。墓地の通路の先が見えない。ずっと真っ直ぐ通路が続いている。ありえない光景だった。何故ならその墓地は私の家のすぐ近くで、家の玄関先から覗くと墓地の敷地とお寺の屋根が見える位置関係にある筈で、だから墓地に入ると同時くらいに、家の屋根が見えないとおかしいのに何処までも墓石が並んでいる。
どうして?と思って空を見ると何故か紫色の雲。頭の中が「?」で一杯の心境だったけど、歩いてれば帰れると信じて友達と一緒に前へと進んだ。引き返す発想は無かった。大分歩いて、空腹もピークに差し掛かった頃、遠くで私達を呼ぶ声がした。それが、私の祖母の声だと気付いた私達は一斉に走り出した。
走り出してすぐに墓地から出る曲がり角が有ったのでそこに入ると目の前に祖母が居て、私達は物凄く怒られた。私達二人は、3時間も行方不明だったらしい。で、祖母がある路地裏で呼び続けてたら、ぽんと飛び出てきたらしい。
後日、墓参りでその墓地に行く事が有ったけれど、墓の入り口からは私の家の屋根が見えていた。あの何処までも続いてた墓地は何だったんだろうか?