よく考えると鏡って怖いよな。 自分の顔を見るにはちょうど良いし、これが無いと女性は困るだろう。すっかり日用品になってるけど、鏡をご神体にしているところもあるし、オカルト関係では鏡を呪いに使ったりもするよな。良い面、悪い面ひっくるめて、それだけ鏡には不思議なナニカがあるのかもしれない。
そう言えば小学生の頃に女の子たちの間で、この鏡を使ったおまじないが流行ってた。こっくりさんが流行ったような年代だし、地元以外で聞いた事が無いからもしかしたらかなりマイナーなのかもしれないけど。
手のひらに乗るくらいの丸い鏡が必要なんだ。ちょうど顕微鏡についてるあの鏡くらいの大きさだったかな。だから当時は理科室の顕微鏡から鏡が盗まれるって騒ぎも起こってて、学校がそのおまじないを禁止するほどだった。運が良いのか悪いのか、友達がその鏡を手に入れておまじないに使っていた。願い事が叶うって言う、ありきたりな物なんだけど、その方法って言うのが何だか気持ち悪かった。
鏡を塩漬けにして一晩おいて、翌日の同じ時間に取り出して綺麗な水で洗う。部屋を出来るだけ暗くして、一本のろうそくに火をつけて、その明かりの下で鏡に自分の顔を写して、願い事を呟きながら鏡を黒く塗りつぶして行くんだと。聞いた感じだと、なんだか自分を呪っているように感じるんだけどな。
その時の友達の願い事って言うのが、痩せたいって言うもので、痩せたい痩せたい言いながら自分の顔が映る鏡を塗りつぶしたんだと。おまじないの効果かどうかは知らないが、しばらくすると確かに友達は痩せ始め、半年くらいで見間違うばかりに細くなった。細くはなったんだけど、何というか、以前より性格が暗くなった様にも感じた。本人は変わってないって言ってたけど、小学生なのに肌にハリもツヤも無かったし、何かの病気じゃないのかと怖くなったのを覚えている。
しばらくして友達のお母さんが、その子の持ってた鏡を見つけて、盗んだものだと知るやいなや烈火のごとく怒られたと聞いた。結局鏡は綺麗にしてから学校に返して許してもらったらしい。それからまた友達はぶくぶくと肥え太り、元の友達に戻った。偶然かも知れないけどな。
友達以外のおまじないエピソードは知らないけど、もし試す気があるなら自己責任で。