厨房の頃、夏休みに祖父のいる田舎に行った時の事。田舎に帰ると、父親は決まって山に行き渓流釣りを、俺はそれについて行き迷わないよう気を付けながら虫やら爬虫類を観察して楽しむってのがいつものパターンだった。
んでその日も、俺は森の中を足元の草むらを凝視しながらブラブラしてたんだが、ふと前を見ると20mぐらい先に、何やらモゾモゾと動く巨大な黒い物体がいや、物体じゃない…向こうを向いて座り込んで、何やらモゾモゾやってる生き物のようだ。
「え…?まさか熊…!?」
とも一瞬思ったがすぐに違うと気付く座り込んだ状態で少なくとも3mはある…大きすぎる。それにあの形、人に近いあの形……
(…ゴリラ?)
本気でそう思った。でも日本にゴリラがいる訳無いし、ゴリラにしたって大きすぎる。10秒ぐらいボーッと眺めていたがふと思った。
(もしあのゴリラ?に見つかったら危ないんじゃ?)」
そう思った瞬間、
『パパパパパパパパーン!!』
父親が「戻ってこい」って合図につかってた熊避けの爆竹だ。その直後、前のゴリラみたいなのはピタッと動きを止め、俺は全速力で父親の元に走りだした。
合流してすぐに昼食のため下山した。
未だにこの事は誰にも言ってない。日本でゴリラみたいな生物見たと言われて信じる人はいないだろうから。