子供の時の話です。夏の課外学習の一環で、夏休みに某県の山間にキャンプに行きました。1週間の日程で、最後の夜肝試しをする事になったんです。
2人ずつ組み、決められたゴールまでのルートを歩くのですが、その間に保護者が扮装して脅かす役を担っていました。
私はさほど仲のよく無かった女の子と組み、スタートしたことを覚えています。実は相当びびりでした。
その子の手をギュッと握って、道々出てくる保護者たちの、決してよく出来たとは言いがたい扮装でも、泣きそうになっていました。
そして、いつの間にか、その川べりにたどり着いていました。
そこには、一匹の河童が立っていたのです。
見ると今までの、幼稚な扮装とはあきらかに異なっていました。緑色の皮膚、甲羅、口バシ、そして頭の皿、と完璧な河童でした。私たちは感心半分、びびり半分で、あわててその場から、走って立ち去ったのです。
ゴールに着いて、先に到着した友達と、キャキャと話しまくったのですが、あの河童の話が出てきません。いろんな子供に聞きました。ですが、私達2人以外だれも見ていません。
不審に思い、保護者に聞いたのですが、答えはノーです。河童の扮装は用意されていませんでした。
大人の今でも不思議に思います。あれは本物だったのでしょうか。