知り合いが家を建て直すことになった時。
井戸を一つ埋めることになったのだが、それに先立って、水神様を鎮める祭事をおこなったのだという。
米や旬の作物が、急ごしらえの棚に献上された。
神主が祝詞を唱えていると、いきなり井戸の水面が波打った。
そして金色に光る小さな竜が、井戸から姿を現したのだという。
竜は彼の家族の周りをくるくると回り、別の井戸へ姿を消したのだそうだ。
不思議なことに、竜が家族に触れた箇所には金粉が付着していた。
竜の姿が見えたのは彼と祖母だけで、後の家族は「急に身体に金粉が付いた」と言って驚いていたという。
それ以来、彼の家族は、水を使う際に感謝するようになったのだそうだ。