【山の怖い話】一族が絶対に入ってはいけないと言われている私有地の山

子供のころの話で、しかも自分の体験じゃないんだけど。毎年、夏になると父方の祖父母の家に遊びに行ってたのね。夏以外も行ったんだけど、夏は必ず毎年行った。父はいないこともあったけど、母と兄と姉と私は必ず。祖父母と母は、特に祖母が母を大事にしてる感じだったから、血縁が無いとかあんまり気にしたことなかった。

祖父母の家の裏は山があって、祖父の持ち物らしいんだけど。私たちは祖母に『おじいちゃんかお母さんと一緒のときじゃないと、絶対に入っちゃ駄目』って言われてた。祖母は足が少し悪かったから、山には入れなかったんだ。山で竹の子採ったり山菜採ったり栗採ったり柚子採ったりね。

で、その年は父が仕事の都合であとから来るっていってて、母と私たちだけで先に祖父母の家に行ってた。兄はもう小学校高学年だったから、ばあちゃんの言うこときかないで山に勝手に入ったりしてた。

父が来る日、母が駅まで父を迎えに行って、退屈した私たちは3人で山に入っちゃったんだ。兄がこっそり入ってるのはばあちゃん知ってたらしくて、兄は『迷子になったら大変だからやめなさい』って言われただけだって言ってて、私はともかく、兄と姉はもう小学校高学年だったから『大丈夫だよね』って言いながら。

山に入って5分もしないうちに、姉が『けっこう人いるんだね。うちの山なのに…勝手に入ってるのかな』って言い出した。人なんかいないのに。直後、姉が『ぎゃーーーーー!!!!』って叫んだ。

兄も私も何がなんだかわかんなくて、逃げる姉を全力で追いかけた。兄が姉を捕まえた時には姉はもう涙ボロボロ流して『なんで…お兄ちゃんたち…見えないの?あれ…なにあれ…』って言ってたけど、指差す方見ても木しかない。兄が家に戻ろうと言ったので兄と姉と3人で、手をがっちり握りながらばあちゃんちまで帰った。

山に入って5分くらいで姉がテンパり出して、10分くらいしか山にはいなかったのに家に戻ったら5時間くらい経ってて、既に到着してた両親にすごく怒られて山に入ったことを告げると祖父母まで怒り出し、1時間説教された。

兄と姉は怒られても『あれはなんなの?』と食い下がった。山の持ち主はじいちゃんだったし、じいちゃんが一番怒ってなかったからじいちゃんにきいてた。でもじいちゃんの答えは『おりゃ見たことねえからわかんねえ』。

翌日になっても兄がしつこくきくので、とうとう根負けした祖母が話してくれた。要約すると、『ばあちゃんの血筋は見える』ものなんだと。不思議なことに、じいちゃんや母が一緒だと、全く見えなくなる。でも父も昔友達と一緒に入って、姉とまったく同じ目にあったらしい。それ以来、父は山には滅多に入らないし、そういえば父が山に入ったのを見た覚えも無い。祖母は足が悪い以前に山へは入れないらしい。

兄は納得したのかわからないけど、私はもう姉の取り乱しっぷりが怖すぎて絶対山には入らないと決めた。

それ以来山には母と一緒でも絶対入らなかったけど、中学生のときに祖父母の家に行ったときに外で花火をしてるとき猫がいたので追いかけていったら、山の際まで行ってしまったことがある。気付かないで猫を撫でていたら、視界に足が見えた。爪が無い。なんか黒くて骨ばっている。

よせばいいのに顔を上げてしまった。

今でも鮮明に思い出せる。元は白だったのかわからない薄汚れた浴衣?みたいなのをきた、推定・女。笑っている口元が開いてるけど歯がない。そんなことより目がない。

『ぎゃあああああああああ』と叫んでみんなのところに逃げ、かたかたしながらみんなに説明すると、姉も父も祖母も『ああ、それw』と軽く言われて、慣れきっている家族にゾッとした。『別に悪さするわけじゃないからほっときなさい』と祖母に言われた。

その後も祖母の家に行くたびに何パターンか見るようになった。姉に至っては今はもう祖母の家以外でもいろいろ見るらしい。祖父はもう他界してしまったけど、母は今も定期的に祖母の家に行っているし祖母の血を引きながら今だ30年以上何も見えない兄もよく行っている。将来は兄が相続するらしい。文章にすると全く怖くなかったけど、私は未だにあの山は入れないよ。

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