【怖い話】明け方の山で見た隻眼の少女

かなり前に友人の家から帰っていたとき、明け方山道を車で走ってたらエンストした。太陽は少しだけ出ていたがまだ普通に暗くて、当然ながら辺りには誰も居ない。予備のハンドライトを何本もつけてビクビクしながら車と格闘していてふと横を見ると、草むらに女の子の胴体が落ちてる……と心臓が止まりそうになったが違った。草むらから女の子が「生えてた」。

ぱっと見普通の人間の女の子のようだったけど、よく見ると隻眼で、足は明らかに根っこみたいなのと同化してたし、古そうな服はボロボロ、誰がどう見ても人間ではなかった。しばらく呆然と見つめ合っていたが、突然何を思ったか、自分は当時好きでこっそり練習もしていたマイケルジャクソンのビリー・ジーンのダンスを踊ってやった。しかも歌つきでポゥ!とか叫びながら、つま先立ちが特徴的なあのダンスを。あの時は恥ずかしながら恐怖で思考がぶっ飛んでたとしか考えられない。

ゼーゼー言いながら踊り終わった後、何ともいえない空気が流れた。1分ほどの沈黙を破ったのは、その彼女(?)の「拍手」だった。無表情なのはそのままだったが、手のひらをゆっくりパーチ、パーチというような感じで叩き始めた。おお……と思っていたら急にエンジンが掛かった。

慌てて車に乗り、発進する最後の時まで手を叩く動作はずっと続いていた。正気に返って車の中で妙に怖くなり、開けた道に出るまで気が気じゃなかった。今では友人の家に行けるもっと便利な道が出来たので、もうあの道を使うことは無いが、あれは一応満足してもらったという事で良かったのだろうか……。ありがとうマイケル。

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