よくある話だけど、今から20年くらい前の実体験。小学校時代によくオカンに登山へつれていかれた。すこぶる健脚…というより、落ち着きがないアホガキだった自分は、親や一緒に登山に来てた親の連れてきた同年代の子を置いて、突き進みまくっては分岐点で皆を待つのを繰り返していた。どっかの山でもそうやって分岐点でボンヤリ待ってたら、なんかザクザク足元から音がする。なんじゃろなってちょっとルートから段差のあった竹薮を覗いたら、知らないおじさんが地面を掘ってた。アホガキだから当然竹薮に入って、掘ってる横から抉れた土を覗き込み、「おじさん、なんかあんの?」とか声をかけたら、優しそう顔でこっちを見て、「山芋。試しに掘ってみるか?」なんてスコップを渡してくれた。
よくわからんが、アホガキだから当然のように手伝う。知らないものは全部やりたがって喜ぶ性格は未だに進歩してない。ほそっちょろい芋1本の半分も掘れてない頃に、親が分岐点についたのか自分の名前を呼び出した。遊んでくれてありがとうとかなんか言ったら、でけぇ山芋2本握らせてくれて、もっかい頭撫でられて「持って帰れ」って言われた。知らない大人に遊んで貰えた上に、頑張ったのが認めて貰えた事に大喜び(色々山の植物について聞きまくって、結局邪魔してるんだろうなって多少は自覚があって、まさか頂けるとは夢にも思ってなかった)で、頭上に両手で芋握りしめて振りまくって居場所アピール。オカンがこっちに気付いてくれたから、おじさんにお礼を改まって言おうとしたら、掘った穴ごとおじさんが消えてた。ポカンとする自分、手には山芋。山芋持ち帰って子供ながらに不可解なあらましをオカンに説明したら、「神様の邪魔までしちゃダメやろ」と笑いながら怒られた。皆で集まって、さっきまで自分がいた場所に全員で頭を下げて、自分は当時(自分にとって)メチャクチャ貴重だった板チョコ半分も土に埋めて帰った。神様、アホガキの子守ありがとうございました。