うちの地元に「○っちゃテレビ」というケーブルテレビの放送局があるんだが、たまに「地元警察署からのお知らせ」というのを流すんだ。どこそこのお婆さんが山に山菜を採りに行って行方不明になった云々とか。先月も山へ散歩に出かけたお婆さんが行方知れずになって「お知らせ」が出たんだよ。まあ結論を言うと、大怪我は負ったものの無事に保護された訳なんだが。ただ、この「大怪我」が問題でね。左のふくらはぎの一部が抉れていたらしい。
お婆さんの話を要約すると、「小さな影が突然走って来てぶつかった。尻餅をついた時には、影は消えていた。左足が酷く痛いので見てみると、肉が削られていた。痛みと出血の恐怖で動けなくなった」という事らしい。お婆さんは持っていた手ぬぐいで傷口を押さえ、暗い山の中で一人怯えていたんだとか。発見が早かったので手遅れにならずに済んだそうで、その点は不幸中の幸い。警察は野犬に噛まれたんだろうと判断したが、治療に当たった消防の人が「これは動物が噛み付いて出来たような傷じゃない」と反論した。しかし、「じゃあ何だよ?」と問われても答えられず、結局野犬の仕業ということに。
何十年か前にも山の中で似たような事が起きていたそうだけど、関連性は無しということで警察は無視。地元の年寄りの何人かが「みょうけん様かなあ」と言っていたが、それが何なのかは不明。「山の中にはみょうけん様がいる」くらいしか話が伝わっていないそうだ。すぐ近くの山の中に人を襲うような何かがいると考えると、少し背中が寒くなった。