田舎の友人から聞いた話。彼が小学生の頃の話です。夕方から急に冷え込んで、日が落ちてからは雪がちらちらとしてきました。「このまま降ったら明日は雪が積もるかな。」と思いつつ、就寝。翌朝、日課となっている新聞を取りに出ると、雪が積もっていました。玄関から郵便受けまでツッカケをサクサクと言わせながら歩き、新聞を取りました。目の前の田んぼには一面に雪が積もって真っ白になっています。「ああ、きれいだな」と眺めていると、山沿いにある田の真ん中にポツポツと足跡が見えました。
「動物だろうかな?」と思い、良く見るとかなり大きいです。「熊じゃないだろうな?」思っていましたが、人のような感じの足跡で、しかも、右足の跡しかありません。「うわ!えらいものを見てしもうた!」と思った彼は急いで帰りました。玄関に入ると、彼の祖父がいました。「じいちゃん、さっきな畑に・・・」と見たものを話すと、祖父は「ああ、たたら様じゃの、気にするな」何でもないように言ったそうです。「まあ、今となっては思い出だけどね。でも、うちの田舎って色々、昔話の類が多かったよな。たたら様とかも、その内に入るんかな?」と今は古典教師になった彼は言っていました。