これは、私が24歳の時のお話です。ある日、私の祖父は、呼吸の苦しさで夜も眠れない状況になり、救急車へ乗って病院へ行きました。すると、祖父は肺炎を患っている事が分かり、人工呼吸器をつけることになったのです。人工呼吸器をつけて意識がはっきりしていると、肉体はとても苦しい事になってしまうので、祖父は、薬で眠らされながら、人工呼吸器をつけることになりました。
救急車で病院へ運ばれてから私が最初に祖父と会った時、その変わり果てた姿に、驚きを隠しきれませんでした。祖父は薬で眠っており、人工呼吸器がつけられ、瞼が開いている状態でした。そして開かれた二つの眼は、白目を向いており、まるで(こういう言い方は申し訳ないのですが)恐ろしい悪霊を目にしているかのような感じでした。その時の驚きと強い不安感は、今でも忘れる事ができないほど強烈で、強く印象に残っています。
当時から感受性の鋭かった私は、霊的な体験を多くしており、スピリチュアルな世界があることを知っていました。そこで、ラピスラズリという石を使い、祖父を遠隔ヒーリングしようと思いつきました。この遠隔ヒーリングのやり方は、私独自のやり方をしていました。その方法は、祖父をイメージして、そこにラピスラズリの石のパワーを送り込む、というような方法です。そうして祖父に独自の方法で遠隔ヒーリングをしはじめてからすぐに、私の夢に祖父が鮮明に出てくるようになりました。
最初の夢は、丸い灰色のモヤが空中に浮いており、そのモヤに祖父の顔がついているというものでした。モヤの中にある祖父の顔は、「俺は、絶対に死なないぞっ!」と、強く決心するように言っていたのです。そのような夢が、最初の祖父の出てくる夢でした。その夢を見てから、祖父は死にたくないと思っていると分かりましたので、ずっと独自の方法で、ラピスラズリを用いた遠隔ヒーリングを行っていました。ですが、私がいくら一生懸命にヒーリングのパワーを送っても、祖父の体は弱ってゆくばかりだったのです。それでも私はあきらめずに、ラピスラズリを用いた遠隔ヒーリングをこっそりと行っていました。
そうしてヒーリングを通じて祖父の魂と私の魂が繋がっているのか、不思議な事に、いつもいつも、夜眠る度に祖父が、元気な頃の姿で鮮明に、しかもカラーで出てきていました。ですが、祖父は、昏睡状態にあって、身体に痛みは無くても、苦しみを感じていたようでした。ある時、いつものように祖父に遠隔ヒーリングを行ってから眠りにつきましたら、夢の中で、祖父が「もう、やめて、俺を行かせてほしい!」と、強く訴えかけてきました。その訴えかけは、夢の中の鮮明に見える祖父が、言葉ではなく、強い思念、テレパシーのようなもので訴えかけてきたのです。このような強い訴えかけがありましたので、私はもう、祖父を楽にしてあげたいと思い、遠隔ヒーリングすることを止めました。
そして、しばらくして、祖父は静かにあの世へ旅立っていったのです。とても悲しい事だったのですが、これが祖父の寿命でした。お葬式がすみ、しばらく経ったある晩のことです。再び、祖父が鮮明に出てくる夢を見ました。夢の中で祖父は、家の庭の草木の手入れをしていました。しかも、体の調子が悪いのか、具合悪そうな感じなのですが、無理をしながら、それでも頑張って、庭の草木の手入れを無言で一生懸命にしているのです。その時にはなぜ、そのような夢を見たのか、皆目見当もつきませんでしたが、後になり、その夢の謎が明らかになりました。
その不可思議な夢を見てから少しして、母から、祖父はずっと庭の手入れをしたがっていた、との話を聞かされました。その夢は、生きて庭の手入れをやりたかったけれども、病気で死ぬことになって、それが叶わなかったんだ、というようなメッセージなのかもしれないと、私は感じ取りました。やはり、スピリチュアルな世界というものは、本当に不思議なものです。このような体験から、私たち生きた人間は、あの世と繋がっているのだという事を深く学びました。