知人の死んだ時間になると首の骨が外れる

中学生の時の話です。小学生の頃からちょっとした霊感はありましたが、まさか骨が外れるとは思いませんでした。ずっと仲良くしていた知人の家にはよく遊びに行っていました。その知人は私よりも少し年上の人でした。その人には妹がいるのですが、その子は病弱な子だったのです。いつもその子の家に行くと、その妹が辛そうに椅子に座っていました。不治の病というもので、治療の方法すらない病気でした。まだ小学生なのに、生まれながらにして病気を抱えていた彼女がとても気の毒でした。何とか楽しくさせてあげようと、一緒にトランプに誘ったり、オセロをしてあげたりしたものでした。でも、あまり手に力が入らず、いつも負けてしまうのです。それでも彼女に楽しい話をしてあげては、元気づけてあげたのです。

 そんな彼女は、それから1年ほどで急死してしまったのです。その急死した日、私はまだその女の子の死を知らされてはいませんでしたが、何故か気持ちが悪くなったり、頭が痛くなってしまうでした。横になってもダメですし、身体を温めてもちっとも寒気が改善しません。きっと、風邪をひいたんだなと思っていたのですが、どう考えても暖かい日でしたし、風邪をひくような原因が思い出せないのです。それに、いつもの風邪よりもかなり身体が重く、肩から腰にかけて重くて仕方ありません。おかしいな、おかしいなと思いつつ、家の中をやっと歩いてはキッチンへと行くのでした。食欲は無いのですが、キッチンへと行きたくなるのです。

水を飲もうとシンクの前に行った時、頭の中がクラクラっとしては意識を無くしてしまいました。気がついたらベッドの上に寝ているのです。仰向けになってパッと目が覚めては、何か気配がします。でも何も見えません。また気配がするからそちらの方へと顔を向けた時、首に凄い痛みが走ったのでした。ただ隣を向いただけなのに、今までに味わったことの無いような痛みが走り、もう顔を元に戻せません。声も出ないほどの痛みですし、立ち上がることさえもできない痛みに怖くなりました。どうして首を動かしただけでそんな痛みになるのか、まだ中学生でしたのでよく分かりませんでした。

そんな時、電話が鳴りました。他に人が居なかったので、私が取らないといけないのですが、その痛みで電話など出れるわけがありません。「どうしよう」と思っていると電話の音が止みました。「良かったあ」と思っていたら、また電話が鳴ります。ずっと切れない電話に、ますます恐怖を感じます。「何かあったんだ」と思いながら床に横たわる自分は、このままどうなってしまうんだろうと悲しくて仕方なく、目からは涙が落ちてしまうのです。ポトポトと流れる涙を感じては、「誰か死んだのかな」とふと思いました。

玄関のドアがガタッと開き、誰かが帰って来たようです。すると、また電話がけたたましく鳴り響きました。そして、母が喋る声がしてきます。その声が止むと、母が倒れていた私を見ては「どうしたの?何でこなんなところに寝てるの!」と叫びながら駆け寄って来ました。そして、「あの子、さっき亡くなられたそうよ」と言ってきました。あの子とは、あの知人の妹のことです。それを聞き、「ああ、やっぱり」と思いました。でも、それどころではありません。首が痛くて起き上がれず、そんな様子を見た私を母は病院へと連れて行ってくれました。

病院で診察をしてもらったら、首の間接が途中で外れていたのです。本当に驚きました。今まで首の骨が外れたとか、骨折したことなど無い私が、その子が死んだ日に外れるのです。しかも、その子が亡くなったという時間とほとんど同時に外れてしまったのですから驚きます。確かに、車を事故に合わせたり、人の魂を抜いてしまうこともできるという幽霊は、人の首の骨を外すことくらい簡単なことだと思います。何故に私だったのか、私にはお葬式に来てもらいたくなかったのかと考えました。病院に入院してはその首を治し、その子のお墓参りを後にしてはその子のお墓に向かって「お願いだからもうしないでね」と言いました。後にも先にも、もうそんなことは起こっていません。

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