これは私が小学校4年生のときの話ですが、私は科学クラブに所属しており理科室への出入りが他の生徒に比べると非常に多いほうでした。私が通っていた小学校の理科室は、今では考えられないでしょうが本物の人骨の全身骨格が飾ってある理科室でした。その人骨は昔この小学校に勤務されていた先生のものだと聞いてます。体を悪くされてそれでも生徒に何か残したいということで、亡くなったら自分の骨を資料として寄贈してくれと頼まれていたようです。みんなその人骨を怖がってましたが私は特に怖いと思うこともありませんでした。
その日も放課後に科学クラブの実験があったため、友人3人と理科室へ行きました。その日はなんだか理科室の空気がいつもと違う感じで嫌な感じでした。教室に入り奥のいつも先生がいる管理室へ行こうとしたところ、管理室の扉が開いて中から白いマントのようなものがふわっと出てくるのが見えました。あぁ、先生が白衣を着て出てこられたんだと思いましたが、よく考えると白衣なんか着てる姿を見たことがありません。しかも物理的に絶対にありえないんですが、扉が逆に開いているんです。蝶番で止まっているほうから扉が開いてましたから、確実におかしいと感じました。その白い物体は管理室へすっと消えていき、扉が音も無く閉まりました。友人たち3人と顔を見合わせて何かヤバイと感じたんでしょうね、無言で一斉に理科室を出ようとしたんです。
そのときにふと目に入ったのが例の人骨だったんですが、その人骨の顔がこちらにゆっくりと向いたんです。それを見た瞬間私の足が止まりました。早く理科室から出たいのに足が動かない。このままだと本当にまずいことになるのではないかと思っていたら、管理室から何も無かったように先生が出てきてその場は事なきを得ました。先生に今あったことをすぐに話したんですが、ただ笑うだけで全く信じてくれませんでした。基本的にそういった不可思議な現象をまったく信じない科学者肌の先生でしたので仕方が無いとは思いましたが、私達3人が経験したことは事実であり、結局それが何だったのかは分からずじまいでした。
その後そういった現象に遭遇したことはなく平和な学校生活が戻ってきましたが、ただ一つだけあの時にこちらを向いた人骨の顔、あの顔はその後もこちらを向いたままの状態になったままでした。少し揺れたりしたくらいでは絶対に向きは変わりませんし、そもそも頑丈なケースへ入れてあるので手で触ることも出来ないようになってましたから、あの顔がこちらを向いたことは紛れも無い事実として私たちの心の中に残りました。現在はその人骨の標本は無いらしく、私達以外の子供たちが不可思議な現象に遭遇したとゆう話も聞きません。41歳になった今でもあの体験だけは忘れることが出来ませんね。