『ヤマギミさん』の着物から出てきた栗

友人から聞いた話。郊外の自宅から歩いてすぐの所に、雑木ばかりの小さな山がある。そこへはよく娘を連れて行き、草花や虫を採ったり、時にお弁当を使ったりもする。この間も、親子でドングリを拾いに出掛けた。長いの。丸いの。帽子をかぶったの。ついつい夢中になって拾っていたら、娘が嬉しそうな声で「お父さん」と呼ぶ。差し出されたビニール袋の中には、美味しそうな柴栗がたくさん入っていた。

栗の木のある所はここからずいぶん離れている。不思議に思って尋ねると、“やまぎみさん”にもらった、と娘は言う。それはとても綺麗なお姉さんで、髪に紅葉を挿してあげたお礼に、着物の袖の袂からたくさん栗を出してくれたらしい。

辺りを少し探してみたが、他には誰も見あたらない。仕方がないから、娘がいた方角に向かい、少々大きな声で礼を述べ、頭を下げた。持ち帰った栗はさっそく家族で頂いた。とても美味しい栗だった。

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