【水死】海の上に浮かんでいたスーツの男性は誰だったのか

十年くらい前の話。友人の祖母宅へ一緒に遊びに行った時のこと。佐渡にある祖母宅へは、新潟からフェリーで行った。フェリーなんて乗る機会ほとんどないので、友人と自分はかなりはしゃいでいたと思う。映画の『タイタニック』がヒットした後だったこともあり、自分らは例のポーズをするため外へ出た。時間ははっきり覚えてないが、日は沈んでいた。例のポーズをし終え、満足した自分らはそのまま船の先端部分で語り始めた。真っ暗な海はどこまでも続いてそうだった。

しばらく語り、ふと正面を見た。たぶん友人も見ていた。正面よりもちょい右に男性が立っている。前にも言ったが、自分たちは今フェリーの先端部分にいる。フェリーの高さも考えると、海面から数メートルの位置に浮いていたんだと思う。よく見ると、男性は腰から下がなかった。茶色のスーツを着ていたが、顔はよくわからなかった。ぼんやり見ていると、男性がこっちに向かって来た。友人も自分も身動きできない。突っ立ってると、友人と自分の間をスッと抜けていった。

友人と目が合い、「何?今の」となった。やはり同じものを見ていたようだ。怖くなりそうだったのであまりそれについては語らなかったが。やっぱり海で亡くなった人なんだろな。海での霊体験はこれくらい。特にオチなくてすまん。

メールアドレスが公開されることはありません。