氏神の神事「再誕の儀」に纏わる奇妙な決まり

知り合いの話。彼が氏子をしている神社では、毎年大晦日から元旦にかけて「再誕の儀」と呼ばれる行事が執りおこなわれる。氏神の再生を祝う神事だということだ。氏子以外の者は入れずに進行し、儀式が終わると社は開放されて、一般客の初詣が始まる流れであるらしい。儀式自体はそのようなものだと思うのだが、彼にはどうにも一つ、腑に落ちない決まりがあった。再誕の儀の間、決してその場にいる者の頭数を数えてはいけないというのだ。なぜかという理由は誰も教えてくれない。

それである年、こっそりと数えてみたという。何の問題もなく数え終えたが、どこかおかしい。そこにいるのは見知った顔ばかりの筈なのに、名前が出てこない者がいる。何度か数え直した彼は更に混乱した。数え直す度に人数が異なっているのだ。妙に疲れてしまった彼は、数えることを止めてしまった。

今では彼も古参の顔となり、新しい氏子から色々聞かれる立場になっている。しかし、例の掟について聞かれた時は、笑って誤魔化すという。
「新人君も、そのうち何も聞かなくなるから。こっそり自分で数えてるんだろうな、やっぱり」
そう言って彼はこの話を締めくくった。

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