叔父が猟師をやっています。半分造林業ですけどね。その叔父を車に乗せて隣の県まで行ってきた帰りでした。会話の種も尽きて、無言で運転していました。県境のトンネルまで来たところで、ふと峠越えの旧道に行きたくなりそちらの道に入って行きました。
途端に、それまで眠っていた叔父が「だめだ!だめ!何でそっちに行くんかい。」と叫びました。びっくりして「いや、別に、、、」と答え、あわてて車をバックさせて、元の道に戻りました。新道を走りながら、そのうち叔父が沈黙を破って言いました。
「フッとそんな気になったんじゃろう?半分引きずり込まれとったぞ。」
「何が引きずり込んだのか?」という問いにははっきりと答えてくれませんでした。
猪や熊を追って山を駆け回る叔父にも説明し難いが、そういうところがあるらしいです。山というものには。