湯河原の山奥の古びた墓地で弁当を食べていた奇妙な家族

小4の頃、両親と三人で湯河原に旅行に行った。ハイキングしてて遭難してしまい、山を三つくらいさまよった。とにかくありえないくらい山中を歩き回っていた。たぶん山一つ越えた辺りだと思う。少しパッと開けたあたりに出た。地面一面白っぽい石で、歩くとジャリジャリ言ったのを覚えている。その時少し変な光景を見た。一組の家族が昼食をとっていたのだ。

その家族は30歳くらいの夫婦と小学校低学年くらいの男の子で、私たちと目が合うと一瞬『何でこんな所に人が?』という顔をした。まぁそれはお互い様で、こっちもまさかこんな所に人が居るとは思わないから驚いた。でもそれ以上に驚いたのは、その家族が弁当を食べていたのが、墓群のすぐ横だったってこと。

その墓群は古い苔蒸した石ばかりで、それこそ何十年も前のものといった感じ。そんなに広範囲ではないが、それでも20は越えていたと思う。とても一時のランチタイムを演出するには向かない。私たちを見ても挨拶や一礼などのアクションは起こさず、ただこっちをジッと見据えるだけ。ただ単に固まっているようにも見えたけど…。父は道を聞こうとしていたが、母が少し気味悪がっていたので私たちは何も聞かずに一礼だけしてその場を去った。

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