祖母の家には一室だけいつも小奇麗にされてる部屋があった

小さい頃に見た奇妙なモノについて、書きたいし意見を聞きたいのですがなにぶん、かなり年月が経過していますので曖昧なのはご勘弁を。また、その後に観たジブリ作品や妖怪の登場するアニメ等からの影響で脳内変換・細部補正が行われている可能性も充分、考えられます。

さて、幼少の頃、我が家は自営業だった為、忙しい時期になるとオレは祖母(当時の気分で書くので、以下婆ちゃん)の家に預けられる事が多かった。ド田舎ではないけど、のどかな場所にある一昔前の日本家屋。それなりに年季が入っているので、全体的にあまり綺麗ではなかったけど、一部屋だけいつも小奇麗にしてある部屋があった。普段は使わないようにしている部屋なのだが、整理整頓されていて気持ちのいい部屋だった。「あまり使わないから綺麗」なのか「使わないのに綺麗にしている」のかは分からない。ただ、そんなに特別な部屋ってわけじゃなくて、親戚などが大勢集まれば、その部屋も開放していた。んで、一人で婆ちゃんの家にいてもすぐヒマになる。するとオリの中の熊のように家中を歩き回る癖があった。

ある時、その小奇麗な部屋にフラっと入ると天井に見慣れないモノがびっしりと張り付く、というか詰まってるというか…を見た。ヒキガエルの卵はご存じでしょうか?透明なゼリー状のチューブのような物の中心に黒い卵が帯状に連続して入ってるアレ。アレの超巨大な感じのモノ。透明のゼリーチューブの直径は20~30㎝位だろうか。中に入っている球体は黒くなくて、淡い緑…だったような気がする。そんなのが蛇とか人間の腸のように何重にも曲がりながら天井一面に張り付いて、グニョ~グニョ~と動いてるの。一瞬見えて、すぐ消える事もあれば、長い時間見える事もあった。毎日見えるワケではなくて、何日かに一度で不定期だったような。

たまにムニュッ・ポペッ!って感じで中の球体がチューブの外に出される。グレープフルーツ程度の大きさで、淡い色の綺麗な球体だったように思う。外に出るタイミングに規則性はなくて、ポペペペッ!って何個も出る事もあった。球体は外に出ると、しばらく浮かんでるんだけど、次第に消えていくんだよね。それらの一連のモノなんだけど、当時はそれほど怖くはなかったのね。あと、人には秘密にしておいた方が自分にとって得策だと、幼心に感じていたように思う。

婆ちゃんに変なのがいるって言って、一緒に見に行くといない、みたいな事があったせいかな?って想像してみたけど、その辺の記憶は曖昧。で、いつの間にか見なくなった。見えていた期間は1~2年程度だったろうか。十代後半位になった頃か、婆ちゃんにあの部屋って何か変わった事あるの?と聞いてみたが、全く心当たりがないらしい。先祖から受け継いできた陶器とか茶器とか色々な骨董品めいた物をしまっていたので、壊しちゃまずいと思って部屋を使わないようにしていただけだって。

で、今振り返って分析するに。一人でいる時間が長い子供は、空想の世界で友達を作り上げその子と遊ぶ、ってのは珍しくないらしい。成長と共に消えていくようだ。異形のモノは、テレビや図鑑で見たカエルの卵の映像が頭に残っていて、それを再現した。こんな所でしょうか。

しかし、疑問も…。あの異形のモノ、ちっとも遊んでくれなかった。遊ぶどころか目も口もありゃしないし、オレの事を認識してるかどうかも怪しかった。オレに対して、敵意はなかったと思うけど、興味もなかったように思う。ただ単にいるだけで、自分のしたいようにしてるだけにしか見えなかったのだが。あれはなんだったんでしょう。

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