昔、山に『山じじい』(山爺)という妖怪がいた。特に、四国の高知県に、そういう記録がたくさん残っている。高知藩の山の役人として、春木次郎繁則という人が、土佐郡本川郷の山村に勤めていた。この人が宝暦元年に書いた日記の中に、この山じじいのことが書かれている。
「山鬼という妖怪がいる。年七十ばかりの老人のようで人に似ていた。目一つ足一つで、蓑のようなものを着ていた。普通、本川の『山じじい』という。一説には、妖怪ではなく、けものの類であるという。しかし『山じじい』を見た者は、そうたくさんいるわけではない。ある大雪の日に、村はずれの道に足跡があった。杵で押したような丸い足跡だった。これが、山じじいの足だろうといわれた。また、村の老婆が、ばったり道で逢ってすれ違ったという。びっくりしてあとを振り返ったが、もう山じじいの行方はわからなかったという。それはぴょんぴょん跳んで歩くからだろう。」
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一本だたらの亜種かな?