地元の大きい寺が全焼した。親父の勤めてる会社が、焼け跡を片付ける担当になった。
下見をして段取りをしていたら、焦げて首がもげてるお地蔵さんがあったから、作業の無事と供養を願い、自分たちのコーヒーや飲み物をあげて手をあわせた。
作業は進み、親父がダンプのへりに立って木材を積んでいた。その時足を滑らせ転落したんだが、まわりの人は『あぁ、やばい、大怪我だな』って、落ちる瞬間を見てたらしい。が、親父はマトリックスの銃弾よけるみたいな格好で、しかも宙に浮いていたらしい。そして体勢を取り戻し、普通に着地した。「浮いていた高さは、ちょうどお地蔵さんの背丈くらいだった」と、親父の仕事仲間が言った。
「いいことはするもんだ」って、親父が呑みながら言ってた。