町の中にある山に登ったときの話なんだけど。僕が登ったのは大して高くもない小さい山。幽霊なんて出そうにないほど。でもその山の頂上には日本でも有数の大きい神社があって、
そこにいく途中の登山道には神々しい雰囲気が漂っていた。たいていの人はケーブルカーとかで登ってしまうので、登山道を使う人なんて本当に少なく、僕一人でずっと登り続けていた。
すると突然、前方でがさがさという音。奇妙なほど静かな中でその音は明らかに異質だった。「ああ、きたな」とはっきり感じた。その音はだんだん近づいてきて登山道に出て、やがて僕の目の前を横切った。足音は確かに目の前を横切ったのに、姿は見えなかった。この山には神様と関係したものが住んでいるのかもと思った。その道を歩いていることに恐縮し、感謝しながら歩いた。