【不可思議】とある人形に対する異常なまでの執着心

ある人形作家さんからお譲りいただいた人形の話。
その人形は、50cmくらいの小柄な少女の球体関節人形。ホームページにアップされていた写真に一目惚れし、即アポを入れて購入させていただいた。その人形は双子の人形の片割れで、「1人では寂しかろう」と思い、後日、もう片方の人形の購入も申し出た。すると、なんと無償でお譲りいただいた。

人形が2体そろった数日後から異変が見られた。彼女たちを飾っている部屋から、子供たちの話し声。(その部屋には誰もいない・・・)外出中、誰もいないはずの自宅から携帯への無言電話。度重なる不可解な出来事の件について、人形を下さった作家先生に、思い切って連絡をとって話を聞いてみた。先生は、さもありなんという感じで、話をして下さった。

その人形は、実は三つ子だったらしい。同じ型で3体作り、代表して1体をある展示会へ出したが、訳ありで突き返されてしまった。人形を返してきたのは展示会主催者で、展示準備の段階で異変がありスタッフからの苦情もあり、結局展示しないと判断されたとの事。その出戻りの1体は型と共に供養に出され、残った2体が私の元へやってきた、とのこと。その人形を作る過程のことをお聞きしたが、先生曰く「その型だけ作成途中の詳細な記憶が無い」という。おそらくトランスのような状態だったのでないか、とのことだった。ホームページで確認すると、確かにその2体だけ他の人形たちとは全く作風が違う。

その後、こんなことがあった。ある休日、外出先の私の携帯に、誰も居ないはずの自宅からの着信が鳴った。出ると相手は妹の声。話によると、東京に来たついでに私の家に立ち寄ってみたが、人形が大変なことになってるので早く帰って来てほしい、とのこと。事情がのみこめず聞き返したが、一方的に電話を切られた。そもそも、なぜ妹が私の家に入れたのか、私が鍵をかけ忘れたのか、など考えをめぐらしながら、とりあえず用件を早々に済ませ帰ることにした。

帰ってみるとドアには鍵がかかっていた。ドアを開けて中に入ったが家には誰も居ない。妹を探したが何処にも居ない。部屋の中は問題なくきちんと片付いており、人形も無事。わけがわからず、とりあえず妹の携帯に電話してみたら、妹は、そんな電話はかけてないとのこと。そもそも妹はその時実家に居たという。一連の事情を話すと、妹は本件(とくに人形)に激しく興味を示してきた。

妹は早速、東京に遊びに来て、私の家に立ち寄ってきた。妹は人形を興味深げに熱心に見つめていたが、呆れたことに「この人形、欲しい」と言い出した。当然、私は断った。十万円以上もかけた世界に唯一の作品をそう簡単に譲るなんてできない。その日、妹はしぶしぶ帰ったが、妹のクレクレ病はその後も続き、私と顔を合わせるたびに「あの人形どうなってる?」「絶対欲しいんだけど」と言ってきた。もちろん、私は断り続けていた。

さて、その後ほどなくして妹は結婚することになった。しかし、妹の人形に対する執念は凄まじく、「あの人形をくれたら結婚祝いは何もいらない」とまで言ってきた。そこまで言うなら、これを兄からの結婚祝いにと、私は人形たちを妹に譲ることにした。実は私自身、当時、出来心で別の人形に興味を持ち始めていたという事情もあったわけだが…

人形が妹夫婦の家へ移った後、不思議な現象は(私の家でも、妹の家でも)起こらなくなった。平穏な日々が続いた翌年、妹は妊娠した。検査の結果、三つ子の赤ちゃんがお腹の中に宿っていることがわかった。3人とも女の子。家族親戚一同、皆、大変喜んだが早産となり、残念ながら1人の子が夭折してしまった。大変な状況下ではあったが、妹は双子の赤ちゃんを産んだ。

妹が産んだ双子の姉妹は元気に成長し3歳になった。最近、妹と話をする機会があったが、妹曰く、あれだけ熱中していた人形に対しては、出産後、一切興味を持たなくなってしまったらしい。(子供が生まれたことで人形どころではなくなったのかもしれないが…)しかしそのかわり、双子の姉妹が人形たちに似てきて驚いているという。

双子の人形は、形状は同じだが、メイクの段階でそれぞれに個性が付けられていた。片方の人形は、眉毛もキリッとしていて理知的で活発なイメージ。そして、もう片方の人形には、優しげでおっとりしたイメージが醸し出されている。作家先生によれば、展示会への出品を断られた1体はとびきりの美人に仕上げていたとのことだった。作成された順番は、1体目:とびきり美人、2体目:理知的で活発な娘、3体目:優しいおっとりな娘である。そして妹が生んだ双子は、姉がよく喋り覚えも早く活発、妹がおとなしくおっとりした雰囲気…もしかして、生まれ出てきちゃった??

とまあ、またビミョーな話です。

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その実家からかかってきた妹からの電話って、お人形は妹さんの子と知ってたのかな
生まれた子、幸せに育ってほしいわ

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妹の声で電話がかかってきた件についてですが、
人形たちはその時すでに妹のことは知っていたと思いますよ。
私と妹が家の電話で話をすることもよくあったので。

無言電話から妹の声を使うところまで、こいつらよくスキルを上達させたなと思いましたよ。

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寂しいから帰ってきて!ってことでいいんだよね

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ストレートに、そういう意味だったのかもしれませんね。
ただ、電話を受けた時は、話の内容が抽象的過ぎて、状況を理解するのに苦労しました。

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