父が亡くなったときの話。父はある日突然倒れ、二日後亡くなった。脳出血だった。母は私が小さいころ亡くなったため、私は一人になってしまった。不思議なことが起こったのはその直後だ。
父は寿司屋を営んでいたのだが、父が亡くなったその日、死亡時刻とほぼ同じ夕方、常連さんの家に出前をしてまわる父の姿が目撃されていたという。父は自ら寿司オケを持って近所の常連三軒をたずねたという。出前はもっぱら若手に任せていたので、店主の父自ら出前をするなんて珍しく、みんな驚いたらしい。どの家にも父はかんぴょう巻きを運んだらしいが、頼んでないと言われ、残念そうに引き返したとか。
父の死後、休業中の店は後を継げる者がおらず、閉店することとなった。閉店の日は常連達のはからいで、店でちょっとした宴会を開くことになった。たくさんの客が集まり、父の人望を知り目頭が熱くなった。
その後日聞かされたことだが、宴会の間、通りかかった近所の奥さんがニコニコと微笑みながら店の戸の前で立つ父を見たらしい。奧さんは驚いたが、そのまま通りすぎ、ふと思い立ちまさかと思い振り返ると確かにそこには父が立っていたという。なんとも上機嫌そうな顔をしていたらしい。
それ以降は父の姿を見たという話は聞かないが、なんで私の前には現れてくれなかったのか、ちょっと不満だ。
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常連さんへの感謝だったんじゃね。
かんぴょうってのは夕顔の実を削った物で干瓢とかく。
夕顔の実は「ふくべ」(瓢)と呼ばれ、それをほ(干)したもの。で、このふくべから福を招く縁起のいい食材とする風習がある。
恵方巻にも入ってるだろかんぴょう。
あと寿司の巻物も縁起物であるから、かんぴょう巻はなおよい。