【見てはいけない】20年前の山道での怪体験【恐怖の理由】

友人に聞いた話。小学生の頃、父親と二人で山道を下っていた。霧が出ていたので、互いに手を繋いで足元を見ながら歩く。と…ふいに父親の手に力が籠った。
「お父さん、痛いよ」
そう言って顔を上げた。父親は前方を睨んだまま険しい表情を浮かべている。その視線の先を追うと、霧の中にぼんやりと小さな人影が見えた。

「見るな!」
突然、父親が大声で吠えた。
「目を瞑れ!いいと言うまで絶対に開くな!」
只事でない剣幕に、慌てて目を瞑る。そのまま、父親に引き摺られるように歩き続けた。ジャリッ…ジャリッ…足音が二人の横を通り過ぎる際、小さく呟く声が聞こえた。
「ナンマンダブナンマンダブ…」

それから20年あまりの月日が経ったある日。久しぶりに父親と酒を酌み交わしていて、あの時のことを思い出した。
「あの人影、誰だったんだ?」
父親はしばらく黙っていたが、やがて渋々といった様子で呟いた。
「お前だった」
それっきり何も言わず、父親はコップ酒をあおった。


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