実家に住んでた頃の話。2年くらい前の、今くらいの時期。実家の2階に自室があってさ、休日昼寝してた。一階から父の声で「おーい」。同時に、階段の壁をコンコン、と叩く音。父は私を呼ぶとき、毎度それをする。起されたことにイラ立ちつつ部屋から「何?」っていうも返事なし。「なんだよ!」って起き上がって、時計見たら午後4時ごろ。夕飯まで寝てるつもりだったんだけど。
一階に降りて居間に通じるドアあけて「なんだよ」って声かけたら、なんか来客中だったみたいで、私に背を向けてざぶとんに中年の男性が座ってる。顔は見えない。そんで父が、床に正座して、深々とその客人に頭さげて、「ありがとう」って言ってんの。何この状況!?と思いつつ、寝起きでのど渇いてたんで、「失礼しますー」みたいなこと言いながら、その客人と父の横を通りぬけて居間の奥へ。そこからキッチンに行けるんでね。お茶でも飲もうかと。そしたら、そこで目に入ったのが父の遺影と仏壇。
「あ!」って思って振り返ったところで自室の布団で目が覚めて。「あー、変な夢みた」と起き上がり、居間に行ったら、母が客用の湯飲みとか、コースターとか菓子器やらを片づけてんの。誰か来てたの?って聞いたら「葬式には出れなかったけど、って、お父さんの古いお友達が来てくれてね」線香のにおいが、まだ部屋に残ってた。
あー、父からしたら俺にもあいさつさせたかったんだろうなー、と思ったわ。そんで父は、すごくその人が来てくれたことがうれしかったんだろうなー、と思った。父が亡くなって半年後くらいの話。「よくある話」って思うかもしれないけど実体験。