山奥に張られた妙なテントの中に横たわっていた女のヒト…

これは俺の田舎であった実話。高校時代、俺と友人三人で近所の山に入る事になった。友人の名前はそれぞれA、B、Cとする。Aは学校では札付きのワルだったが俺とは何故かウマがあった。Bはアホだけど俺らの中ではいちばんモテてた当時彼女持ちもこいつだけ。Cは家が寺とか神社をやっていたエリートだったけど本人はいたって不謹慎なやつだった。

午後から山に入ってそろそろ片付けて帰んべってなったときソレは起きた。
「うわああああ!コウちゃん(俺)これなんだよ!」
俺はまたBがくだらないイタズラでも考えたのかと思って「やれやれ」って感じでそっちの方に行ったのだがさすがにソレを見たときは凍りついた。

木の影になっていて気がつかなかったのだが、そこには青いテントのようなものがあったのだ。そのテントの端から女のような白い顔だけがゴロンと飛び出してこちらを見ていた。こんなところにテント?でもあの女の顔は白過ぎないか?そんなことを考えていると女の目が開いた。普通は目のあるところが真っ赤な石みたいになっていた。そして女は首だけをテントから出しながらなんかあああああと喚きだした。俺らはなんかトンデモナイものをみてしまったと感じていた。

「これ以上見たらあかん!逃げろ!」
普段は大人しいCが叫び、俺たち四人は一目散に山を駆け下りた。あんまりメチャメチャに走ったもんだから、気付いたら隣にはcだけ。他の二人とははぐれてしまったようだ。しばらく山の麓で待ってたんだがAとBはなかなか降りてこない。山の入り口はここしかないのに何故かわからない。先に帰ったのかもと思って、Cと家の方に向かって進み始めた。

「しかしあのテントの女気持ち悪かとねー」
「あの女の事は誰にも言ったらいけん!ぜったいやぞ!俺らの秘密にしような!」
Cがマジな顔して言うので俺はかなりビビった。そうこうしてるうちにCの実家の寺までやってきた。親父さん(法主)に挨拶でもして帰ろうとした。したらCの親父さんが凄い剣幕で俺たちに聞いてきた。
「お前ら山に行ってきたやろ!何か見たやろ!」
「テントから白い顔の女を見た!目が真っ赤やった!あれはアレとちがうよな!親父違うよな!」
Cの親父がまくしたてる。
「お前ら……自分が何したんかわかってないんか!」

俺とCは怖くて動けなくなった。
「とりあえずお祓いしたるからこっちこ!でも長くは生きられへんぞ!AとBみたいにな!」
俺は少し混乱した。なんでCの親父がBやAの事を知ってるの?白い顔の女は何なの?そんなことがぐるぐる頭を回った。俺たちは言われるままにお祓いを受けたが、次の日になってもAとBの姿は見えなかった。

それから高校を卒業して俺は地元に居辛くなって出て行き、それから帰っていません。あの白い顔の女は何だったのだろうか。そしてBやAはどこへ?最近になってCが死んだという連絡が俺の母親から届いて怖くなってここに書いています。

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