犬の死体をどうしても焼きたがった理由

炭焼き爺さんの昔話。ある日ボロボロの服を着た中年の男が大きい犬の死体を担いでやってきおった。中年の男は犬の死体を乱暴に釜の前に下ろしてな、死体を焼いてくれと言う。火葬場じゃないと怒鳴りつけたらな、やつは舌打ちをしおった。ワシはカチンときてな、奴と怒鳴りあいになった。そしたら奴はだんだん泣き顔になってな、ぎゃあぎゃあ泣き出しおった。

で、奴はな「夜になると生き返るんじゃ」と言ったんじゃ。ワシはぎょっとしてな、犬を見おったら目が開いておる。じゃが体はどう見たって死んどる。息だってしとらん。最初から開いておったかもしれんがの、目はまるで生きているようじゃった。ワシが固まっているとな、奴は死体を背負って泣きながら帰っていきおった。気味の悪い出来事じゃったな。

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