飛騨高山で感じた物の怪の気配

山は山でも飛騨高山なんだが、幻覚(でなければ)か「物の怪」にあったことがある。高山城跡に夜何の気無しに登った時、2の丸だか3の丸だかの広場の自販機でジュース買って、街灯の明かりを外れて真っ暗闇の原っぱに足を踏み入れた。

しばらく歩くとものすごい「気配」を感じた。風の音に混じって、闇の中で何かが草ッぱらをかき分けて動く音とシュウシュウと言う息?そしてこちらをじっと伺っている気配。灯りからはずいぶんと離れてしまっている。犬なんかじゃない、犬にしては大きすぎないか?幽霊でも無い、何か別のモノの気配....自分の前方をゆっくりと左右していたその気配は今度は近づいてきた。草がさわさわと掻き分けられて来る。じっとり汗が出てきて、後ずさりにどんどん下がった。途中で向きを変えて本格的に走ろうとした時に、人の胸くらいの高さにどんよりした赤い目が二つ見えた。街灯の灯がようやく届く場所に駆け込むと、その気配は灯のバリア(の様に感じた)の端でじっと停まっているみたいだった。車道に戻るには再び光の無いところを通らなければならない。どうしようと考えていると、車が通りかかりヘッドライトが辺りを照らした。その隙に全力で走って車道に戻り、旅館までひた走りに走った。気配はついて来なかった。

翌日、明るい時に例の場所に行ったが、夏の光の下、広い草原の中で子供が遊んでいた。

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