水木しげるの体験談「ラバウルのぬりかべ」

漫画家の水木しげる氏は戦時中に南方戦線のニューブリテン島、ラバウルへと派遣され、過酷な戦争を経験してきた。「水木しげるのラバウル戦記」「ほんまにオレはアホやろか」など彼の自伝でその体験が詳細に書かれている。そんな中彼は戦場で幾つもの超常現象を体験したという。


その中でも彼が、バイエンの戦場に10名の分隊で派遣された時だった。敵は待ち伏せをしており、彼の部隊は奇襲を受けた。激しい銃撃を浴びて、部隊は水木しげる一人のみを残して全滅したという。敵はなおも逃げる水木しげるの後を、執拗に追いかけて来た。その時彼はもう駄目だと思い、両親に最後の別れをしようと心の中で思い出していたという。
その時、母親は水木しげるが岩場で逃げている姿を夢に見たそうである。水木しげるの夢を見た母親は、彼の身に不吉なことを起こるのを防ぐために、寝ている父親を起こして、一緒に必死で無事を祈ったそうである。戦後、母親からその話を聞いて、彼は両親のテレパシーで命を助けられたのだと思ったという。

またある日の夜、彼が一人ぼっちでジャングルを逃げ回っている時だった。彼は友軍の陣地へと目指し、ジャングルの中を進んでいた。その内に突然、前に進めなくなったと言う。目の前に、壁が立っていたというのである。彼が手で触れると、壁はコールタールみたいな柔らかい感じがしたという。そして水木しげるが大きさを見ようとすると、それはとてつもない大きさだった。
その時、激しい睡魔に襲われて、水木しげるはその場で眠り込んでしまった。翌日彼が目を覚ますと、なんと彼の居た場所は断崖の絶壁だったという。これ以上あの時進んでいれば、彼は危うく命を落とす所だったのだ。ジャングルに現れた妖怪「ぬりかべ」に彼は命を守って貰ったのである。

後日、彼がゲゲゲの鬼太郎を描いた際、「ぬりかべ」を善良な妖怪として描くのはそうした体験があったからだそうだ。

メールアドレスが公開されることはありません。