上流で騒ぐ声がした

文才ないから上手く書けるか判らんけど、唯一の心霊(?)体験を。

俺が高校一年の時の話で、その頃の俺は釣り、特に沢釣りにハマっていた。
主に岩魚なんかを釣っていたんだけど、この類の魚は凄く敏感で、少しでも人の気配を察するとすぐに逃げちゃう魚だったから、俺は釣り場に先客がひとりでもいたら帰っちゃっていた。
その釣り場っていうのは獣道を20分ほど入っていった、まあ山奥だったんで、いつも学校の帰りに沢への入り口に細い糸を渡して、誰かが入ったら判るようにしておくのが日課になっていた。
一応言っておくとこの糸は凄く細くて普通には見えないし、触ると直ぐに切れちゃう。だから誰かが引っかかれば直ぐに切れるって事。




そして、あの日。チャリで山道を上がり、沢の入り口へ。前日に張った糸は…切れていない。という事でさっそく獣道を掻き分け、沢に向かう俺。
で、沢に着くとすぐに釣りを始めたんだけど…。なんか川上の方から人の声が聞こえるんだよ。それも複数で騒いでるような。

俺「あれ、おかしいな?糸は切れてなかったし…」

ここの沢への入り口はその獣道を通る以外、普通には入ってこれないような山深い場所だし、糸も切れてなかった。
そもそも俺が今いる(釣りをしている)場所から上は、川幅もすごく狭くなり、木がもわーっと覆い茂っていて、遊びで人が入っていくような場所じゃないんだよ。
俺「でもまあ…馬鹿共が入り込んで遊んでるのかな…」
と、ひとりで納得。納得っていうか納得する以外ないよ、その時点では。その時も上の方から遊んでるような声が聞こえてくるし。
ともかく、そいつらとは声の調子から距離が離れてるのがわかったから、多少、うんざりしながらも釣りを再開したんだ。

そしたら始めて直ぐに、今度は川上から葉っぱが大量に流れてきやがった。もう水面を埋め尽くす位の量の葉っぱが。
俺「馬鹿野郎!なにしてんだよ!」
当然、激怒する俺。だって魚、逃げちゃうじゃん。つーか釣りどころじゃねーし。

もう絶対に上で馬鹿騒ぎしてる連中がやってるんだと思った俺は、文句の一つ…も言ってやりたいところだったけど、相手が複数じゃ怖かったんで、とにかく騒いでる連中を見てやろうと思って、川に沿って川上に向かって歩き始めたんだ。

上にのぼっていくに従って川幅は狭くなり、左右から木々が覆いかぶさり、もうなんつーか、ジャングル探検隊みたいな状態に。
ただしばらく黙々と進んでから気がついたんだけど、連中の騒ぎ声の中に女の声も混じってたんだ。良く考えるとおかしいよな、こんな場所に女なんて。

だって川の中をバシャバシャと歩かないと入っていけないような場所なんだぜ、ここ。いくらふざけて遊ぶ為だからってこんな気味の悪い&足元ビショ濡れみたいな場所に、いくら馬鹿な女だって嫌がるだろ?
その辺まで考えてたら、急に騒ぎ声が止んだんだよ。もうなんていうのかな、本当に静寂に包まれたって感じ。そしたら急に気味悪くなって来てさ、
俺「もうどうでもいいや、帰ろう」
と思って速攻で今来た道…つーか川を下り始めたんだよ。そしたら、後ろでバシャンとかでかい水音がしたと思ったら、バシャ、バシャ、バシャとか俺の方へ音が向かってきたんだよ。

もう怖くてさ、一目散に猛ダッシュ。元いた場所もすっ飛ばして釣り道具も置き去りにして沢の入り口まで逃げまくり。
で、恐々、沢の入り口をその時始めて振り返って見たら、なんかいるんだよ、野郎が。沢の入り口から影になって薄暗い木々の中にヌボーっと突っ立ってコッチ見てんのよ。

俺がビビッて動けずにいたら、どれくらいだったかソイツは沢の奥に入っていった。もう二度と近寄らなかった。釣り道具はもったいなかったけど怖くてとてもじゃないけど近づくのも嫌だった。

アレが幽霊だったのか変態だったのか未だに判らないけど、これが俺が唯一体験した心霊体験。

長文になった上、読み難くて御免な。

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