持山の奥で祖父と二人、茸狩りをしていた時のこと。
切り株の脇で、奇妙な太めの蛇を見つけた。
姿形は蛇なのだが、頭部の少し後ろ側から小さな足が何対か生えている。
「何だこりゃ?」
手にした枝で突付くと、蛇は煩そうにゆっくり動き出した。
見てるこちらがじれったくなる程スローな動きだった。
しつこく突付いていると、それに気が付いた祖父に怒られた。
祖父曰く、これはノモリと呼ばれる蛇だという。
うっかり殺してしまうと、死体がとてつもない悪臭を放つようになるので、近辺には人も動物もしばらく近よれなくなるそうだ。
「里の近くでこんな厄介なモンを突付くんじゃない」
そう言って怒られた。
「新種の爬虫類だったんじゃないの?捕まえれば良かったのに」
そう言う私に、「いやアレってさ、生きている実物からして既に臭かったんだ。俺がアレに気が付いたのも、周りに漂う悪臭からだったし。あれ以上臭くなるってんなら、絶対近よりたくないね」
彼は顔を顰めてこう答えた。
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家モリ
井守
野守