特に怖い話ではありませんが、俺が体験した不思議な話でも。
俺は秋田県在住で、季節が来ると八森町という所にある山へ岩魚を釣りに行ったり、山菜を取りにいったりしています。
沢を2時間ほど上った先に少し開けたポイントがあるのですが、そこにキャンプを張った2日目の真昼の話です。
その日はとても良く釣れました。5時から7時半位までで、持ち帰るレベルの大きさのものが17匹も釣れました。
まだまだ釣れそうでしたか、あまり釣りすぎてもいけませんから、釣るのを止めキャンプへ戻り朝ごはんにしました。
もう一泊の予定でしたから、釣った魚は川渕に生簀を作り、そこに泳がせておきました。
朝ごはんの後はイワタバコという山菜を取りに行きました。
あまり見かけない大きなナメクジが沢山居たのが印象的でした。
11時半頃山菜取りを終えキャンプへ戻り、朝釣った岩魚で一杯やった後テントへ戻り少し寝ました。
14時頃違和感を感じて起きました。
川音も聞こえない位、山が酷く静かなんです。
「なんだべ…まぁこんた日もあっかー」っと思いながらテントを出ようとすると、下流の方から音も無く川の中を真っ黒な塊が上って来るのが見えました。
とっさにテントの中へひっこみ、隙間からその黒い塊を見ていました。
魚の群れのようにも見えましたが、良く分からなかったです。
金縛りとかそんな感じではなかったですが、それが通り過ぎるまで身動きできませんでした。
なんというか、少しでも動いたら引っ張られそうな感じで…
黒いのが通り過ぎた後とても怖くなり、逃げるように沢を下り家へ帰りました。
生簀の岩魚は全て居なくなっていました。