小学校低学年の時の話です。
ある夏の日、父と2人で海に釣りに出かけました。
釣りというのは投げてから食いつくまで時間が掛かります。
「時間かかるから泳いでこれば?」
恥ずかしながらも下着姿になり海に飛び込みました。
入ってすぐは浅瀬が続いているので、楽しく遊んでいました。
しかし、もうちょっと奥へ行こうと足を踏み出した瞬間、あるはずの足場がなく溺れてしまいました。
もうパニックです。なんとか浮上しようともがくのですが、もがけばもがくほど沈んでしまいます。
それでもなんとかと、もがきながらふと海面を見上げました。
すると、どういうことでしょう。自分の体の分ほど、海面に円ができていたのです。
そう、呼吸ができたのです。
呼吸ができたことで冷静になり、このままじゃだめだと、浮上するために体の力を抜きました。
思惑どおり、体はどんどん浮上し海面に到達しました。
そして、岸に向かってバタ足を開始したと同時に父が助けに来てくれました。
もしあの時、海面に円ができていなければ、今の私はなかったかも知れません。
とても不思議な体験でした。
この話をしても誰も信じてくれないのは残念ですが・・・。