『生死を選ぶチャンス』の話

当時、彼女は夫と二人で郊外の一戸建てに住んでいたそうです。
ある夜、彼女は仕事の後飲みに行くと言った夫を待っていました。しかし、あまり遅くなったので先に寝ることにしました。

そして眠った彼女は、夫がバイクで車と衝突して死ぬ夢を見て目を覚ましました。夢というより、確信に近いものだったそうです。彼女は「夫が死んだ、夫が死んだ、どうしよう!」とパニックになったそうです。

しかし間もなく、聞きなれたバイクの停車する音が聞こえて来ました。玄関のドアが開く音がし、酔っ払った明るい夫の声がします。大声で彼女の名前とどうして遅くなったかを、ロレツの回らない舌でしゃべっていました。

泣いていた彼女は、あまりに上機嫌の夫に少々腹を立て、布団の中から大声で「遅かったねー。あんたは事故で死んだと思ってたよー」と言いました。すると夫は「あらー、そっち取っちゃったのー」とおどけたように言い、物音が急に止みました。その直後、夫の事故死を知らせる連絡あったそうです。

後に彼女は「あの人が神様に貰ったチャンスを、私がだめにしたのかも・・・」と言っていたそうです。

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