これは、私の知人A君が経験したことです。
彼(A君)は下宿、友達のM君はアパートで一人暮らし。2人の家は歩いて4~5分と近い所にあった。
ある日A君がM君に電話した時の話、いつもの様に電話番号を押して合図があってから内線番号を押した。(M君のアパートの電話は、番号の後に内線番号を押すタイプだった。)
「ハイ、もしもし。…(クスクス)…」
と子供の声で返事があった。とっさにA君は「かけ間違えた!」と思い「間違えましたすみません。」と言って電話を切った。
切った後考えてみたが、内線番号も間違えていないし、そもそもMのアパートは学生しか住んでいないはず…。もしかして、Mの家に遊びに来た親戚の子供が出たとか? と思い直し、もう一度かけ直すことにした。 間違いの無いように確かめながら番号を押した。
「ハイ、モシモシ。(クスクス、クスクス)」
男の子か女の子か分からないような、さっきと同じ子供の声がする。その後ろで、子供、数人の笑い声も聞こえた…。
やっぱり、親戚の子供か?と思いながら、確認のために「Aと申しますが、M君の家ですか?」と聞いてみた。すると「うん、そうだよ。(クスクス、クスクス)」という返事。どうやら、Mの家で間違いは無いみたいだ。「Mはいる?」 と聞いてみると「今はいない。(クスクス、クスクス)」と言う。
昨日Mと話した時家にいると言っていた時間帯なのに変だなぁと思ったが、電話を切った。それに今、AM2:00だぜ…。納得いかないので、M君の家に行ってみることにした。
チャイムを鳴らすと、寝ぼけ眼のMが出てきた。A君は驚いた。とっさに「M、今、お前の家に子供いる?」と聞いた。「?何言ってるんだよ、いるわけねーだろ」との答え。「ま、外で話すのもなんだし…」とM君はA君を招き入れた。
部屋に入ったA君は子供の姿を探したが見当たらない…。A君は事の次第をM君に話して聞かせた。
「だから、変だなって思って来てみたんだよ。」
「お前、寝ぼけてたんじゃないの?(笑)」
「いや、ホントだって。2回も電話したんだぜ。」
「まじか…。実はおかしなことがあるんだよ。俺の部屋って角部屋だろ?右隣の壁の向こうは外だよな?偶に寝てると(ベットは右側の壁にある。)隣から、女の人の話し声が聞こえるんだ…。他にも、夜、重苦しいと感じて目が覚めると黒いネコが胸の上に座ってたり…」
M君の母親は不思議な体験をする人らしく、親よりは少ないが彼もそういう経験をする事が多いらしいとのこと。それにしても、あの子供の声は何だったのか…。あの「今はいない。」 と言う答え…。もしかしたら、その時M君は違う世界に行きかけていたのかもしれない…。A君が来なければM君は今この世にいなかったのかも…