私が幼稚園くらいの時、家の近くに広瀬川が流れていました。私は当時1人で遊ぶのが好きで、川の所で石を投げたり水の流れているのを見ていました。
あるとき、私が川の側で遊んでいると、後ろから「1人で遊んでいるの?」と声をかけられました。後ろを振り向くと、私と同じ年齢くらいの男の子が立っていました。私は「うん!砂で団子を作っていたんだ!」と答えると、その男の子も「僕も一緒に団子を作ってもいい?」と言うので、私はいいよと言いました。しかし、私は変だな?と思いました。だって、その子を今まで一度も見たことがないのです。それに着ている服がボロボロなのです。私はその子と楽しく遊んでいましたが、何もしゃべらないのです。そしてその子の顔を見ると「寂しそうな顔」をしているのです。
それから私が川で遊ぶたびにその子が来るのです。私はその子に「ねえ名前何て言うの?」と聞きました。すると「けん」と言いました。私は1人ではない。けんちゃんという友達ができたことが嬉しかったです。
私が母に「けんちゃんという友達が出来たことを話しました」母は「この町内にはそんな子はいないよ」と言うのです。それから私は川に行くと、けんちゃんが遊んでいました。そして「ねえ、けんちゃん、家に遊びに来ない?なにかおやつでも食べよう」と話すと、けんちゃんは突然消えたのです。
母にそのことを話すと母は、「多分戦争で死んだ子供じゃないか?」と言うのです。私はそのとき怖くなかったのですが、今になり思うと、けんちゃんは可愛そうになります。