肉体を失った人々

私は今でこそ心霊スポットと呼ばれる場所には行かなくなりましたが、10代、20代の時はそれなりに面白半分でドライブをかねて行っていました。その中で、知る人ぞ知る清滝トンネルには頻繁に行っていました。


トンネルの中では壁のシミが人の形にみえたり、顔のような形にみえたり、それなりに「出るトンネル」という、先入観から様々に恐怖心から車の中で仲間とワイワイ騒いだりしていました。そのトンネルも通り抜けたさきにはバス停留所があり、昼間なら多分売店のような建物がありー少し離れた所に簡易トイレがありました。一人が、 「トイレがあるから行ってくる」と言い出すと、他の人も次々にトイレに行くことになりました。しかし、変なんです・・・

用を足して車の中に戻ってくるとさっきまでのハシャギようとは打って変わって皆何かに怯えているような雰囲気なんです。たまたま、私はそのトイレのある噂を以前から聞いていたので行きませんでしたが、最後の一人が、車に乗り込むと運転係の友達は、アクセルを思いっ切り踏み込んで元来たトンネルをフルスピードで通り抜け、数十キロも離れた辺りで、ボソっと話はじめました。

「あのトイレな、和式なんや。で、用を足してふっとあげた目線にちょうど小さいまどがあるんやけどその窓から男か女かわからん。すごい顔がじーっとこっちをみてんねん。」と。私は冷静を装いながらも、内心 「ごめん私は前からその事はしっていたよ」と思いながら黙って聞いていました。流石に皆の怯えてる姿は痛々しくて、悪いなとはおもいましたが、今後、ああいった場所は面白半分で行くまいと、思いました。

しかし、真夜中の二時にウロチョロとしているのは、生身の人間だけでなく、肉体を失った人達もウロチョロしているんですね。みなさんもくれぐれも心霊スポットなる所に行くときは気をつけて。

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