港の倉庫の深夜警備で

この話は、現在は取り壊されてしまい存在しないの神戸の某会社の運動場での出来事です。
当時、私は19歳の大学生で夏休みで帰省する友人の代わりに港の倉庫の深夜警備のアルバイトをしていたときです。アルバイトは午前0時から1時間毎に交代で倉庫の巡回をするもので3人1組で行っていました。

ある夏の夜、警備会社の社員のおじさんが急病で休んで1人で巡回しなくてはならない日のこと。アルバイト仲間と順番を決め交互に巡回することになりました。私は奇数の時間をもう一人は偶数の時間を巡回しました。午前1時の巡回のとき倉庫の側の運動場には人の気配はありませんでしたが、2時の巡回をしていたもう一人が、首をかしげながら戻ってきて、運動場に数人の女の人がいたと私に報告をするのです。

私は、夏休みなので近所の子が花火でもしていると思いあまり気に留めませんでした。そして、3時の巡回のときその運動場では、やはり数人の人がいるのですが、少し様子が変でした。花火をしているわけでもなく、しゃべっているのでもなく、ただ、じっとしているだけなのです。一応、その運動場は私有地でもあるので、私は一言注意をしようと思いましたが、なぜか声が出ません。

仕方なく私は懐中電灯で人のいるほうを照らしましたが、人には光が当たりませんでした。そこで私はあきらめて巡回を先に終えようと倉庫に向かいました。そして、巡回を終えて戻ってきたとき、まだ運動場に人がいましたので今度こそ注意をしようと運動場の側に行きました。そこで、大きい声で注意をしました。(声が出るように事前に確認して)すると、一人の女の人が、”すみません”と一言いったとたんそこにいた人の気配がすべてなくなり、バレーボールだけが残っていました。

それからは、何事もなく朝を迎えバイト仲間と朝の引継ぎのとき、その出来事も報告すると警備会社の人が青い顔をして”そんな事はありえない”と言いました。なぜならば、そこは数年前から閉鎖されていて猫ですら入ることができない状態なのです。それでは、一体、あの夜の自分たちの見た人たちは…?

それから、すぐにアルバイトは辞めました。

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