「そこの1番テーブルにはいつも誰かがいるの。」

この話は私が高校生のときのことです。私はあるショッピングモールの中の喫茶店でアルバイトをしていました。その喫茶店は「何でこんなところにあるの?」と思うようなショッピングモールの隅っこにありましたが、従業員等に人気があり、いつもお客さんが絶えませんでした。

ある日のこと、お客さんも一段落し、片付けをしながら各テーブルを周っていました。すると死角にある1番テーブルから「お姉ちゃん、ビールちょうだい。」と声がかかりました。私は「すみません、うちはお酒類はおいていないんです。」と答えながら振り向くと、そこには誰もいませんでした。すぐに私の異変に気づいたパートのおばさんが教えてくれました。

「そこの1番テーブルにはいつも誰かがいるの。このショッピングモールの建設工事のとき、ちょうどこのあたりで転落事故があって作業員が一人亡くなっているからその人かもしれないわね。」
その日はとても暑い日だったと記憶しています。ビールが飲みたくなったのでしょうか…

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