排水溝から伸びる指・・・

俺は長崎に住んでるんだが、30年くらい前に長崎大水害ってのがあったんです。人が何人も亡くなって、長崎では原爆以来の災害だったワケで。で、俺はその頃は中学生で、実家は停電中でロウソク立てて家族でのんびりしてたんです。俺は反抗期で、そんなダラダラな雰囲気が我慢できず、こっそり家から出て、強風を楽しんでいたんです。

山肌や広い通りに面した家は風でガタガタしてたんで、俺は狭い商店街を歩いてたんです。そうしたら、道路横のデカイ排水溝から「ガギャッ!!」ってデカイ音。金属に何かがぶつかったような、金属がズレるような、音。

風音よりデカイその音にビビッった俺は、恐る恐るその排水溝に近寄りましたすると、排水溝の穴から、指らしきものが出て…。なんかピクピク動いてるし…。商店街に人通りは全く無くて、俺一人。思考停止したまま目だけをこらし見てたんですけど、その指、パッと消えてしまって、あとは水の流れる音のみ…。まさか…ヒト…?

ちなみにそのデカイ排水溝は、中島川っていう、当時は深かった川に通じてるんです。有名なめがね橋の下を流れてる川ですから、ご存知の方もいるかも。もうそれ以来、トラウマになったのか、排水溝には近づけません。あの穴からまた指が出てくるかも、と思うと…。

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