ひいばあさんの話

まだひいばあさんが生きていたころ…確かまだ幼稚園の頃だったと思う。
ひいばあさんの家があるのは、観光にも狸を利用しているほど県内では狸で有名な土地で、
もちろん今でも狸は良く出る。
狸を扱った絵本なども出ており、俺は狸の絵本が大のお気に入りだった。

ある日、ひいばあさんの家に遊びに行った時、俺はひいばあさんに聞いてみた。
「狸って化けるって本当?」
「…狸は化けねな」
「えー…」
夢を壊されふてくされかけていたら、ひいばあさんが続けて言った。
「…狸は化けねども、なんかしかが狸に化ける」
「狸に?」
「…おめ、動物園の狸が化けるのみたこどあっか?」
「なーい」
「…狸は化けね。ケモノっこだもの」
「…化けらァずはバケモノよ。バケモノがケモノさ化けらぁずや」
「バケモノが狸に化けるの?」
「狸だけでね、けづねさも、いたぢさも、いぬさも化ける」
「…人さもな」
「…」
「んだがら~ちゃん。おがさんがたのゆごどきがねば、バケモノよってくっど?」

最後の言葉は俺を戒めるために言ったんだろうが、
どうしても『バケモノはケモノに化けるからバケモノだ』と言う言葉が、心に残ってしかたない。

『ひいばあさんの話』へのコメント

  1. 名前:匿名 : 投稿日:2016/01/16(土) 04:08:55 ID:
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    駄洒落なのだろうけど
    人を含む生き物には、悪い奴もいる
    騙されないように、心眼を磨けってバッチャは言いたかったのかな?

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