菜食主義

彼女は気が強く、山にも一人で出かけることが多かった。
紅葉狩りに行こうと、秋の谷へ出かけた時のことだ。
通る人とて無い細い道を歩いていると、木立の奥より物音がした。
覗いてみると、少し先の木陰で、大きな猿のような背中が樹の根元を掘っていた。
ここで襲われたら逃げられない!
強気な彼女も、その時ばかりは一人でいることに焦ったらしい。
すると、まるで彼女の心を読んだように声がかけられた。
「襲わんよ。わしはこれでも菜食主義者なんでな」
まさか口がきけるとは思わず呆然としていると、それは立ち上がって振り向いた。
大猿の身体に、初老の男性の顔がついていた。

立ちすくむ彼女を残し、それは悠然と歩き去ったという。
その手には、掘り出したばかりの長い山芋を持っていたそうだ

『菜食主義』へのコメント

  1. 名前:匿名 : 投稿日:2015/12/06(日) 03:57:06 ID:E3NTA0MDM


    ガクブル
    もしも草食系男子だったら(”^ω^)・・・

  2. 名前:牛の首 : 投稿日:2016/10/09(日) 20:52:09 ID:IyMDE4MDM

    いや、そのおっさんはサトリだよ。

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