靴屋の奇妙な音楽

数年前、ある靴屋で働いていたときのこと。あまり忙しくない店だったから、閉店後の片づけはスタッフが1人で行っていたんだ。ある夜、僕が1人で閉店準備をしていると、店内にかかっていた曲の音量が突然小さくなり、同時に何だか古くさい曲がとても静かに流れ始めたんだ。

まるで蓄音機から流れてくるような感じの音で、とても低い男性の歌声が、ブルースを歌っているように聞こえた。歌詞はほとんど何を言っているのか分からなかったけど、かろうじて「神」「サタン」「悪魔」「ころす」なんて言葉は聞き取れたかな。

その歌が20秒くらい続いた後、突然、元の曲に戻ったんだけど、こんなことが数カ月の間に何回か起こったよ。しかも、いつも違った曲の途中で、この歌が始まるんだ。同僚の女の子も同じ体験をしたことがあると言っていたけど、あれがなんだったのか今でも分からない……。

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