自分ではなくて舅の体験した幽霊がらみの話。舅は小さな観光バス会社で運転手やってる。観光だけじゃ仕事が少なく会社として成り立たないらしいので、葬儀屋から火葬場、お寺などへの送迎を主としている。そんな仕事だから、お寺の住職が言うには、たまに肩に霊を乗せていたりするらしい。
住職が「今日は連れてきているから気をつけなさいよ」といった日に限って、青信号なのに前の車が突然ブレーキを踏むなどの、いわゆるヒヤリハットが多い。今日も丁字路を直進中に、バスのギアチェンジをしようとクラッチを踏んでギアを入れようとしたら、どうしても入らない。中古のバスだからたまにこういうこともあるけどな、と冷静にもう一度クラッチを踏み込んでギアをいじるが、ニュートラルから動かない。なんでだ?と思っていたところ、目の前を一時停止しない左折車両が飛び出して行ってしまったそうだ。客も口々に「危なかった、もう少しでぶつかってたよ」と言う間に、目的地(寺)へ到着。
拝み終わってから、住職が「運転手さん、ひとり肩に乗ってますよ」と。住職曰く、「憑いていても肩が重くなったり、凝ったりしなければ良い霊。良い霊は良い人へ、悪い霊は悪い人へしか憑かない」とのこと。今日憑いてきたのは、ギアを入らないようにして守ってくれたってこと?
あと、舅は霊感ゼロの人ですが、葬儀場などの仕事に携わると本人が見えなくても憑いてきてしまうらしい。でも、こういう幽霊話よりも火葬場で働く人の生の声のほうが怖い。燃え残りを出すとか、脳みそ燃やすために頭蓋骨割るとか、体がでかくて燃えにくいから火力あげちまえとか。 焼き窯の後ろに小窓みたいのがあって、燃やしている途中にそこから棒(?)を突っ込んでガツンとやるらしい。ついでに燃えが悪いところもガシガシと燃えやすいところにかき集めるとか。それでも残っちゃうところは、窯から出した後に取り出してしまうらしい。
火葬場の職員さんは遺体の焼け具合をチェックするために、その小窓から覗いてチェックするんだけど、何しろ中で焼いているのは人間。職員さん曰く、「新人の頃は何度も吐いた」らしい。今は勤続ウン十年なので慣れたみたいだけど、 「焼いているのは人間じゃない、犬猫だ」と思わなきゃやっていられないとも言ってたみたい。
舅は職員さんに焼いてる途中を見てみたいと無茶を言ったが「やめとけ、興味本位で見るもんじゃない」と言われたらしい。ほとんど骨になった後の状態ならたまに見せてくれるらしいが。