地方の寺の息子です。今は東京でリーマン、 家は兄が継ぎました。信じてもらえるかわからんけど、子供のころの出来事をいくつか。
・お盆の時期になると、敷地内の墓地に昼夜関わらずあの世から戻ってきた人(…だと思う)がうろうろしてた。小学校に入るまで、それが普通だと思ってた。
・中学卒業するまで、毎朝毎夜本堂で親父のお勤めを正座して聞かなきゃならんかった。サボるとぶん殴られたもんで。そんな夏の夜、本堂の扉を開けっ放しにして兄と一緒にいつものお勤めをしていたら、背後から明らかに異様な気配がしてくる。かさかさ音もする。子供だから怖いのと気になるのとでそわそわしてると、親父が一括「やかましいぃっ!お前ら仏の教えを聞きたいのなら、もう少し静かにせんかっ!」
それまでわさわさしてた気配がぴたりとやんだ。それ以来、本堂の縁側にひざまずく白い影…というか煙みたいなのをたまに見かけるようになった。
・小さいころ、格子柄(チェックみたいな模様)の着物着て裸足の、おかっぱの男の子と境内で遊んでた記憶がうっすらとある。でも、その子が話してる言葉がさっぱりわからなかった。
・ある時期、境内にある大きな木の真ん中あたりに、鈴を持ったしわしわのおじいさんがずーっといた。
とりあえずこんなところかな。でも中学入るくらいかどれもらさっぱり見なくなったし、変な体験もしなくなった。
ちなみに、親父は昔から見るらしい。僧侶という手前、お化けとか幽霊とかいう表現を使わず、もっぱら『異形』という言葉を使ってる。若い頃、山の中の寺で修行してた時に、一つ目一つ足の坊主の妖怪(?)を見たことがあるみたいで、小さい頃は他人様のお墓に上って仮面ライダーごっこをするなど悪いことをすると、その妖怪のお話をエンドレスに聞かされたものだ。まあ、すぐ『拳』に変わりましたが。
ちなみに兄も見るんだが、これが一番たちが悪い。どっちかというと、お化けに好かれるタイプらしい。境内に水子地蔵があって、寺伝だと昔飢饉のときに亡くなった子供をまとめて供養してるみたいなんだが、小さい頃は絶対その近くで遊ばないように祖父から言われていた。子供心に薄気味悪いところだったから、そうじゃなくても近づきたくなかった覚えがある。兄はその場所で『あっちの世界』へ二度ほど引っ張りこまれそうになってる。ちなみに、私が前述したおかっぱの男の子と出会った(?)のも、水子地蔵のある裏手のちいさな空き地でした。
私は見るというよりも、感じると言った方が多いかな。見たとしても、強いて言うなら煙みたいなものを見る事が多いです。感じるときは何故か右半身だけががきれいに逆立つような感触を受けます。なんかくだらないこわい話みたいになってしまいましたね。すいません。